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2024.09.16
インバウンド(訪日外国人)向けにビジネスを展開する企業・店舗にとって、従業員の英語スキルのアップは大きな課題のひとつです。しかし多くの企業・店舗は社員の英語教育には二の足を踏んでいるのが実情です。社内には英語を教えられる人材もいないし、お金もかかるし、といった要因が実施を阻んでいます。
いわゆる「人材開発支援助成金」は、そうした悩みを解消する手がかりのひとつになるかもしれません。
インバウンド対策で従業員の英語力アップに活用できる「人材開発支援助成金」の基本を知る!
「人材開発支援助成金」とは、厚生労働省が提供する支援制度の1つです。
従業員の育成および能力開発を進める際には、訓練・研修などの実施が考えられます。その際にかかるコストは人材開発支援助成金などの制度を活用することで、補填が可能となります。以下では、人材開発支援助成金の基本について解説します。
基本1 仕事に関係する職業訓練などの経費・期間中の賃金を助成する制度
仕事で必要になるスキル獲得のための職業訓練などを実施する際には、多くのコストがかかると予想されます。経費や期間中の従業員の賃金などにかかる経済的な負担を軽減できるのが、人材開発支援助成金の特徴です。
自社の業務に必要となる専門知識・技術を身につけるための訓練や、IT・デジタルスキルの獲得に必要な研修を実施した際に、一部のコストを助成する制度となっています。人材開発支援助成金を上手く活用することで、スムーズに従業員の育成プランを計画できるようになるでしょう。
基本2 申請によって従業員のスキルアップをサポートしやすくなる
人材開発支援助成金を申請することで、従業員のスキルアップをサポートしやすくなります。人材開発支援助成金は訓練や研修の費用を助成するだけでなく、有給休暇の取得制度や労働時間の短縮制度などを通して、従業員の自発的な能力開発を促した場合の金銭的な支援にも活用できます。
従業員が自分から積極的に能力開発を行える職場環境が構築できれば、継続してスキルアップを進められます。長期的な視野を持って従業員の成長を促せるため、社内全体の能力を高められるのも魅力です。
基本3 人材開発支援助成金には6つのコースがある
人材開発支援助成金には、2024年8月現在で6つのコースがあります。それぞれのコースごとに助成内容や受給条件などが異なるため、自社の目的や環境に合ったものを選ぶことが重要です。具体的には、以下のコースが人材開発支援助成金の制度に含まれます。
人材開発支援助成金「6つのコース」(2024年度)
・人材育成支援コース
・教育訓練休暇等付与コース
・建設労働者認定訓練コース
・建設労働者技能実習コース
・人への投資促進コース
・事業展開等リスキリング支援コース
各制度は厚生労働省のホームページで確認できるため、事前に詳細を把握しておきましょう。
参考:人材開発支援助成金(厚生労働省)
人材育成支援コースの詳細について
人材開発支援助成金のなかでも、幅広い訓練・研修に適用される「人材育成支援コース」は、特に注目を集めています。人材育成支援コースを活用することで、人材開発に関するさまざまな目的の達成を目指せるでしょう。以下では、人材育成支援コースの概要を解説します。
概要1 人材育成支援コースは令和5年4月に新設されたコース
人材育成支援コースとは、令和5年4月に新設された人材開発支援助成金のコースです。以前はの特定訓練コース・一般訓練コース・特別育成訓練コースの3つに分類されていましたが、令和5年4月をもって人材育成支援コースに統合されました。
従来はコースごとに申請が必要でしたが、現在は人材育成支援コースに申し込むだけで制度の利用が可能です。人材育成支援コースのなかには、「人材育成訓練」「認定実習併用職業訓練」「有期実習型訓練」という種類があります。
訓練・研修内容によって適用される助成制度が変わるため、まずはそれぞれの特徴を確認して申請の準備を進めるのがポイントです。
概要2 「人材育成訓練」について
人材育成支援コースの「人材育成訓練」とは、OFF-JTに関する助成制度です。OFF-JTとは、職場ではなく研修やセミナーなどによって能力を育成する方法を指します。現場で実施される通常の教育に含まれない研修・セミナー・eラーニングなどが該当します。
人材育成支援コースの「人材育成訓練」では、自社の職務に関連する知識・技術の習得につながるOFF-JTを、10時間以上実施した際に助成されます。OFF-JTを中心に人材育成を実施する計画を立てるのなら、人材育成支援コースの「人材育成訓練」を利用することが検討されます。
概要3 「認定実習併用職業訓練」について
人材育成支援コースの「認定実習併用職業訓練」とは、職場にとって中核となり得る人材を育成するための支援制度です。職場を支える人材を育成・確保することを目的として、OJTとOFF-JTを実施した際に適用されます。
現場以外の場所で研修などを行うOFF-JTとは異なり、OJTは職場の先輩や上司について知識・技術を習得する方法となります。現場での実務を体験しながら、実践的なスキルやノウハウを獲得できるのが、OJTの特徴です。
人材育成支援コースの「認定実習併用職業訓練」では、このOJTとOFF-JTを組み合わせて、訓練・研修を実施した際に助成されます。OJTとOFF-JTを両方実行する必要があるため、より綿密に育成計画を立てることが求められるでしょう。
概要4 「有期実習型訓練」について
人材育成支援コースの「有期実習型訓練」とは、有期契約労働者などを対象にした支援制度です。具体的には有期契約労働者を、正社員に転換することを目的とした育成に対して助成が行われます。有期契約労働者とはその名の通り、雇用期間が定められている従業員を指します。
例えば、契約社員などが、有期契約労働者に該当します。本来契約社員は、雇用期間が終了するたびに契約の更新などを交渉する必要があります。そのため雇用状況が不安定になりやすく、安心して働けないなどのデメリットがあります。そういった状況を改善するために、正社員への転換を企業側に求めるケースも増えています。
しかし、契約社員を正社員にする際には、さまざまなコストがかかります。そういったコストを考慮して、事前に訓練・研修を実施し、即戦力として自社に貢献してくれる人材に育てることが重要視されています。人材育成支援コースの「有期実習型訓練」を使うことで、正社員への転換時にかかるコストの助成が受けられます。
具体的には認定実習併用職業訓練と同様に、OJTとOFF-JTを組み合わせた訓練を実施することが、助成の条件となります。
概要5 人材育成支援コースにおける手続きの流れ
人材育成支援コースを申請する際には、基本となる手続きの流れを把握するのがポイントです。具体的には、以下の流れで人材育成支援コースの申請が行えます。
訓練計画の提出
「職業訓練実施計画届」などを作成して、訓練開始日から起算して1か月前までに各都道府県労働局へ提出する
訓練の実施
実際に計画した訓練・研修を実施する
認定実習併用職業訓練・有期実習型訓練に関しては、OJTとOFF-JTの併用が必須となり、訓練終了後に「ジョブ・カード様式3-3-1-1職業能力証明(訓練成果・実務成果)シート(企業実習・OJT用)」で、従業員を評価する必要がある
支給申請書の提出
訓練終了日の翌日から起算して2か月以内に、「支給申請書(様式第4号)」と各種必要書類を提出する(必要書類はこちらで確認可能)
助成金の支給審査を受ける
上記の手続き後、助成金の支給に関する審査が実施されます。
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